代表校、出揃う。この夏を制するのは、誰だ。
夏といえばグランツールのシーズンだが、こちらも忘れてはいけない。8月1日・2日・3日の3日間は若き獅子たちの躍動する高校インターハイの開催期間だ。
戦略やテクニックではプロレーサーにかなわないが、がむしゃらな熱さが感じられるのが高校ロードレースの魅力。地元高校を応援する楽しさもあるだろう。早めの夏休みを取って、避暑を兼ねて開催地・長野まで応援に行くのもオツかもしれない。
さて、最大の関心事はやはり優勝カップの行方だ。今年の高校日本一、総合優勝を称える15センチの表彰台に並ぶのはどの高校だろうか。勝敗の行方を占ってみたい。
※以降、インターハイの勝敗を捏造しています
実力派3年生が揃い踏み。前年覇者、千葉総北高校。
昨年優勝校である千葉総北高校。3年間で2度の高校チャンピオンとなった小野田坂道、そして今泉俊輔、鳴子章吉といったメンバーが卒業したが、今年の3年生も彼らに勝るとも劣らない実力者達だ。エース鏑木一差、主将段竹竜包の双璧に加え、大柄ながら小野田の走りを彷彿とさせるクライマー杉元定時も加わり、3年生には死角なし。
昨年、ルーキーながら鮮烈なデビューを飾った2年生ふたりが脇を固め、さらに今年は鏑木曰く「オレ以上」だというやんちゃな1年生も入学したという。
連休に行われた恒例の静岡合宿では全員が余裕を持って1,000kmを走り切り、月末の県大会も危なげなく連覇。
やはり強い、総北高校。連覇という偉業に向けて着々とチーム作りは進んでいる。
新開悠人を柱とした煌びやかなスター選手達。もはや裏本命、神奈川箱根学園。
ここ数年、総北高校と交互に優勝カップを分け合ってきた神奈川代表箱根学園。全国随一の野自転車名門校であり、常時50名を越える部員達が豊富な設備と箱根の恵まれた自然の中で日々切磋琢磨する。いまだ「高校王者」といえばハコガク、というファンも多いのではないだろうか。
こちらも昨年の主力であった真波山岳・銅橋正清らが去るも、名門校の名に恥じないスター選手達が、まさに綺羅星のごとくひしめいている。中でも主将を務める新開悠人の実力はピカ一だ。同学園を卒業した兄、新開隼人と同様、甘いマスクで人気を集める選手だが、もちろんその走力は折紙付き。小野田・真波の去った高校自転車界において、一歩先んじた存在と言えるだろう。
もちろん彼と肩を並べる3年生、鈴木太郎と佐藤一郎も、それぞれ高校トップクラスの実力の持ち主だ。鈴木と佐藤は秋からコンビを組み、今季負けなしの連勝中。さらにクライマーの田中、スプリンターの渡辺と山本。「6人全員がエース」という箱根学園を象徴する言葉は今年も揺るぎがない。
王座奪還を合い言葉に夏に挑む箱根学園。今年も胸躍るレースを繰り広げてくれそうである。
怪人・御堂筋が去った京都伏見高校の実力は。
あまりにも特異なスタイルとトリッキーなプレイ、身を削るような走り。数々の伝説を打ち立てた御堂筋翔が去った京都伏見高校。昨年までのインパクトを思うと、小粒化の印象は拭えないだろう。
しかし、御堂筋から主将を引き継いだ岸神小鞠の率いる新生京都伏見には、御堂筋時代にはない新たな魅力がある。
軍隊のような統率された動き。ときに味方をも非情な作戦で出し抜き、犠牲にし容赦なく勝利だけを目指すのが御堂筋率いる京都伏見のスタイルだったが、岸神が引き継いだ今年のチームはずいぶんと印象が変わった。まさに京都人、といったたおやかさのある岸神を筆頭に、品のいいチームなのである。しかし、レースになれば豹変する。読者諸兄の中にも、レース中の岸神の、幾重にも着込んだ上着を解放されたかのような、軽やかでありながら情熱的な走りをご記憶の方は多いだろう。
今年の京都伏見は、まさにそうしたチームである。洗練された走りと、解き放たれた情熱。それらを両立させて編み上げる岸神の手腕はまさに御堂筋譲り。新生京都伏見はやはり今大会も台風の目になると見て間違いない。
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