風薫る初夏・HAKONE道ヒルクライム(2) 高校の部優勝は真波山岳!

風薫る初夏・HAKONE道ヒルクライム(2) 高校の部優勝は真波山岳!

高校の部の優勝は箱根学園・真波山岳。招待選手東堂の圧巻のパフォーマンス。

※実在の大会を参考にした部分がありますが、原作番外編を元にした架空の大会のレポートです。また、体裁上(2)とありますが(1)はありません。

 

関東各地で夏日となった5月29日(日)、神奈川県小田原市にて「HAKONE道ヒルクライム」が開催された。
過去数回、秋に開催されて好評を博した当大会だが、メインスポンサーの撤退によりここ数年は開催を休止。消滅の危機にあったが、地元関係者を中心とした実行委員会の熱意により、新たなスポンサーを獲得。時期を秋から初夏に変更し、今年、6年ぶりの開催にこぎ着けた。
通常は自転車で通行できない有料道路を使用してのレースとあって、関東各地からサイクリストが集結。晴天にも恵まれて大勢の観客が詰めかけ、じっとしていても汗ばむほどの陽気の中、熱い戦いが繰り広げられた。

前回記事に続き、レースの模様をお届けする。

二年前の再戦か、夏の前哨戦か。高校の部はクライマー頂上決戦。

高校男子の部の優勝者は真波山岳選手(箱根学園高校3年)。高校自転車界に君臨する王者・箱根学園の今年度主将であり、3年連続のインターハイ出場も確実視されている超高校級クライマーが、地元大会での栄冠をきっちりと手にした。その真波と最後まで熾烈な先頭争いを演じたのは、小野田坂道選手(総北高校3年)。3位には同じく箱根学園の2年生、新開悠人選手が入った。
小野田選手は二年前、初心者の1年生にして総北高校を悲願の初優勝に導いた立役者であり、真波選手と同様にこの夏のインターハイでの活躍が期待されるクライマーだ。本日ふたりの繰り広げた熱い戦いは、二年前のインターハイの再演、あるいは彼らの集大成となる今年のインターハイの前哨戦として、観客からも大きな声援を送られた。結果は真波選手の勝利となったが、実力は伯仲。この夏の彼らの戦いも楽しみだ。

大会後のインタビューで彼らが語ってくれたことによると、二人は冬季の道路閉鎖期間に特別な許可を得て、この道を使った個人的なレースをしたことがあるという。だがあいにくの悪天候により、その日の勝負はキャンセル。そうした経緯もあり、両選手ともこの大会への参加をとても楽しみにしていたそうだ。勝った真波選手は勿論、僅差ながら敗者となった小野田選手もすがすがしい笑顔でようやくの決着を喜んでいたのが印象深かった。
また、本日5月29日は偶然ながら、真波選手の誕生日。「最高の誕生日プレゼントになりました」と表彰台でほほえんだ真波選手に対し、小野田選手が「全然知りませんでした。真波くん、おめでとう!あっ、でも、今日の勝負はプレゼントじゃなくて、本気だよ!」と話すという、ほほえましい一場面も。

地元出身・東堂尽八が見せつけた背中。

一般男子の部では招待選手である地元出身の若手、東堂尽八選手(19、チーム○○所属)が圧巻の走りで観客を魅了。途中、沿道を埋めたファンに恒例のパフォーマンスを披露する余裕を見せながら、終始安定した走りで軽快に駆け上がり、二位以下に背中を見せつけた。招待選手のため記録にはならないが、さすがは日本でも有数のクライマー。観客や参加選手からも感嘆の声を浴びた。
エントリー選手のトップゴールを決めた優勝者は△△△△選手(××サイクル)。表彰台で東堂選手からメダルをかけられ、肩を組んで勝利を喜んだ。「東堂選手の伝説の第一歩となった大会で優勝できて本当に嬉しいです!」と叫んだ△△選手は東堂選手の大ファンであり、招待選手決定の報を受けてこの大会に照準を合わせ、トレーニングを積んできたという。

真波選手の高校の先輩であり、二年前のインターハイではチームメイトとしてともにレースを走った東堂選手。レース後のトークで後輩のレースの感想を求められ、「まだまだですね!はやく追いついてもらいたいものです」とバッサリ。これに対し、観客席にいた真波選手が隣の小野田選手の肩を抱き、「追いついてみせますよ!」と宣言する一幕もあり、会場の拍手を誘った。

大成功のうちに幕を下ろしたHAKONE道ヒルクライム。来年もまた、心震わせる好勝負に期待したい。

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サイクルタイム編集長
編集長兼サイト制作者。某箱根の山神の走りに惚れ込み、高校生たちのレースを追いかけている内に、気がつけばこんなところまで来てしまいました。選手たちの勇姿は勿論、自転車に関わるさまざまな人々の魅力を多方面からお伝えして行ければと思います。