輪界待望の日本ワールドツアーチーム始動!その名も「チームYWPD」!!

輪界待望の日本ワールドツアーチーム始動!その名も「チームYWPD」!!

「日本ロードレース界が待ち焦がれた、日本発ワールドツアーチームが2013年に発足します!」

東京都幕張メッセで11月20日~23日に開催された自転車の祭典「サイクルスポットインターナショナル2012」において多くのロードレースファンを前に公にされたこの重大発表。メインステージに登壇した泉田塔一郎選手(ダイヤモンドイズム・アンサー)の声に大喝采が沸き起こったのを記憶に留めている読者も多いはずだ

会場で明かされたのは、プロコンチネンタルチーム「ダイヤモンドイズム・アンサー」のワールドツアーチーム昇格に伴ってチーム名が変更されるということだけ。アナウンスがないままやきもきとさせられた1週間を過ごし、今日、遂に続報が来た!

公式サイトの開設によって明らかにされたのは、これまで伏せられていたチーム名と所属選手、2013年シーズンの展望だ。

チームYWPD(ワイダブリューピーディ) 

監督:小関将(日本ナショナルチーム監督)

〈新規加入選手〉

東堂尽八(23)←クレイディソレイユ

巻島裕介(23)←フォーカスワン・サイクリスト

御堂筋翔(20)←サクシャバンク

真波山岳(21)←クライムモンスター(アマチュア)

〈残留〉

ダイヤモンドイズム・アンサー所属選手

 

エース引退、新世代へバトン

チームの前身となったのは3年前に設立された「ダイヤモンドイズム・アンサー」。こちらも日本で初めて設立されたコンチネンタル・プロカテゴリのチームとしてファンの期待を一身に背負い、そして期待通りの成果を上げてきた実力派チームだ。

スプリントの得意な選手が比較的多くメンバーに含まれており、アジアツアーの平坦・丘陵コースで勝利を量産してきた。その筆頭格は昨年度加入の泉田塔一郎(22)だろう。ツアー・オブ・ジャパンやジャパンカップでの華々しい勝利は日本ロードレース界の展望の明るさを見せつけられた心地だった。若い世代が多く活躍するフレッシュなチームはほぼ全員が契約を更新し、来年から新しいチーム名を背負ってワールドツアーを戦うことになる。

ただ一つ残念なのは、3年間絶対的エースとして君臨してきたトーマス・イェーツ(イギリス)が今期限りで引退を発表したことだ。

「(ダイヤモンドイズム・アンサーの)ワールドツアー昇格の話を聞いたときには、引退を少し早まったかなと思ったよ。けれど新しく入ってくるメンバーの名前を聞いて、僕は喜んでこの椅子を明け渡そうと思ったんだ。実は先週一緒に走ってきたんだけれど、四人とも噂以上の強者だった。来シーズンは何の心配もいらない。早々に勝ち星をあげてくれると期待しているよ。日本のロードレースファンの皆は、今年こそツール・ド・フランスを観に行くべきだ!」 

白い歯を見せたトーマスと会うのもこれで最後、と悲しむのはまだ早い。彼はサドルの上を退くものの、居場所をチームカーに移しメカニックとして選手たちと共に戦う。

大型クライマーの補強、狙うはマイヨ・ジョーヌ!?

ジロ・デッレミリア(UCI1.HC)でプロ2年目にして7回目の勝ち星をあげた東堂尽八とジロ・デル・ピエモンテ(UCI1.HC)で“怪鳥”ジーノ・ビアンキを下した巻島裕介。二人の大型クライマーの加入は新チームの目指す場所を一段も二段も引き上げるはずだ。

更に編集部を驚かせたのは、今期ツアー・ダウンアンダー(UWT)ステージ2勝、ジロ・デ・イタリア(UWT)山岳ステージ1勝をあげている御堂筋翔の移籍だ。世界屈指のビッグチーム・サクシャバンクからの離脱は誰も予想しえなかっただろう。イェーツの後継者は突出した才能と実力を持つオールラウンダーの御堂筋以外にありえない。

ダークホースはアマチュアチーム・クライムモンスターから加入する真波山岳だ。ダイヤモンドイズムの学生海外派遣事業で、フランスのアマチュア最高峰カテゴリであるエリートナショナルカテゴリーレースに参戦。山岳レイアウトのレースを2度制覇している。欧州での勝利はこの2度限りだが、渡欧中の参戦レースでは全てトップと同集団でのゴールを果たしている。日本国内の活躍も目覚ましく、特筆すべきは驚異の登坂スピードだ。乗鞍ヒルクライムのコースを51分で駆け登り、コースレコードを4分以上縮めたプロ顔負けの実績を誇る。ワールドツアーに居並ぶ魔の山をどのように捻じ伏せるのか楽しみな選手だ。

「3年以内にワールドツアーチームランキング5位入賞」という高い目標を掲げ、山岳に強い選手を中心に据えた補強から、その狙いは間違いなくグランツールだろう。出場レースでコンスタントに上位入賞を押さえてゆけば、目標は遠からず達成されるはずだ。そのためにはアシスト陣営の更なるパワーアップが急がれる。

経験の浅い若手が多い中、歴戦の猛者たるベテラン選手たちの手腕が問われる来シーズンとなりそうだ。

 

☆新規加入4選手の座談会はこちら

※レース名、地名、東堂尽八・巻島裕介・御堂筋翔・真波山岳以外の人物名、チーム名等は、記者の捏造による

※別記事とはパラレル設定で作成された記事です

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桐原十六夜
スポーツ選手に憧れること早十数年。テニス、アメフト、野球にバスケと長らく球技を愛好してきました。(もっぱら応援専門でしたが!) ロードレースとの出会いは小説。 本物が見たい!と足を運んだインターハイ神奈川県大会でその魅力に憑りつかれ、気が付けばCYCLETIMEの記者として世界を飛び回る生活に。 レースレポートを中心に、選手たちの活躍を読者の皆様にお届けします!!